「ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー」感想 俺たちの愛したマリオ

マリオシアターすごかったね!

  • はじめに

筆者はゲーマーである。幅広いゲームをやるのではなく一つのゲームをやり込むタイプのゲーマーである。マリオのゲームもちゃんとやっている。特にスーファミで出たスーパーマリオワールドGBAリメイクはドラゴンコインを全ステージ集めてクリアしたことがあるくらい好きだし、GCスーパーマリオサンシャインは攻略本片手にシャインを集めた記憶がある。そんなマリオがついに映画になって公開された。

正直、最初のニンテンドーダイレクトでの発表は楽しみ半分、不安半分だった。なにせゲームの映画化は難しい。ソニック・ザ・ムービーやバイオハザードシリーズのように大ヒットするものもあるが、それも賛否両論あるし、歴史に名を残すクソ映画になったドラクエの映画の例もある。また、マリオの映画といえば、カルト的なB級作品になってる実写版の例もある。

すっかりインターネットのおもちゃになってる実写版マリオのポスター

 

このことから、実際に面白いかどうかは公開されないとわからなかったが、実際に公開されたところ北米の興行収入レコードを塗り替える大ヒット。そしてこれらの記録を引っさげ、ついに日本でも公開されたのである。

  • 92分に詰め込まれたありったけの作品ネタ

結論から言うとめちゃくちゃ面白かった。

「僕たちが遊んだゲームのマリオ」のエッセンスがガチガチに詰め込まれていた。例えば

 

ペンギン王国→あのペンギン、マリオ64に出てた!

ルイージのダークランド探索→ルイージマンションだ!

ピーチが作ったハチャメチャに難しいコース→マリオメーカーの味!

マリオVSドンキーコングの決闘→スマブラの味!

タルをマリオめがけて投げるドンキーコングファミコンドンキーコングの味!

 

などなどここでは語り尽くせないくらいゲームのマリオがたくさんありました。

特に凄かったのかコング軍団との同盟からのクッパ軍団とのレインボーロード怒りのデスロードシーン。

ハチャメチャに面白い!でもなぜかクッソ強いコンピュータの記憶が蘇る!頭痛がする!最高!ってなりました。

雑に投げたみどりこうらがクリーンヒットしたり、バナナに引っかかったりと実際にゲームをやった記憶が戻ってきて「ああっ!」って声が出そうになった。

加えてこれで勝てる!からのブルーシェル(トゲゾー再現)の台パン待ったなしシーンまでお出しされたらもうダメ!加減しろ!バカ!

 

あくまで僕らは「ゲームのことをよく知っている観客として、意見を言う」「ゲーム制作側の知っている情報を、できるだけイルミネーションに提供する」ということを心がけていました。たとえば、任天堂チームからは「ここはヒップドロップをしてほしい」「クッパは振り回して投げてほしい」という、あくまで「ゲームを知っている側」からの提案をいくつか出しました。その提案をキャッチボールしながら、毎週できあがった絵をチェックする感じです。

https://news.denfaminicogamer.jp/interview/230428wより

こうしたコミュニケーションがうまくいってるからちゃんとマリオのゲームの映画になっているんだなと思いました。これ言うのは簡単だけどめちゃくちゃ難しいんだよね…

修行コースで死にまくるの、マリオやった人ほどニンマリできるね!マリオは難しいコースたくさんあるよね…お城コースとかおばけやしきとか…

今回の映画制作ですごく痛感したんですけども……もうマリオのファンの人たちが、世界中で仕事をしているんですね。IT業界からアミューズメント業界まで、マリオが大好きな人からちょっと知ってる人まで。

(中略)

だから、映画の制作チームの中にも、マリオのファンがたくさんいました。監督も、脚本家も、アニメーターも、みんなマリオに詳しいので、どんどん提案が出てくるんですよ。しかも、マリオのファンというより任天堂のファンでもあるので、僕の知らない任天堂のゲームのネタまでどんどん脚本に取り入れてきてくれるんですね。 まさに「スパイク(ブラッキー)」が登場するのはイルミネーションチームからの提案で、逆に僕らが「懐かしい!レッキングクルーや!」とか言いながら(笑)。

https://news.denfaminicogamer.jp/interview/230428w/2#i-2

より

宮本茂さんがこういうようにみんなマリオやってるんだよなぁ…

  • 1人の人間としてのマリオやクッパ、ピーチ姫

ゲームの映画化で難しいのはストーリーの文脈をどう作るかってことなんだが、これもちゃんとしてるのがこの映画のいいところである。

正直、ここのストーリー周りに関しては「こんな幸運なことはないんと違うか」と、自分でビックリしています(笑)。

https://news.denfaminicogamer.jp/interview/230428wより

 

「配管工として独立したマリオとルイージが不思議な世界の冒険を経て成長し、ラストのブルックリン大乱闘でマリオの諦めない気持ち、ピーチの知恵、ルイージの勇気、ドンキーコングキノピオとの友情などこれまで積み重ねたいろんなものが結実して俺たちの知ってるゲームのスーパーマリオブラザーズになる」という流れがゲームと矛盾することなくここまで完璧に仕上がるのはすごいと思う。マリオシリーズお馴染みのスターBGMでここまで胸が熱くなるとは思わなかった。「イルミネーション超頑張った!ブラボー!」って拍手しながら言いたくなった。そら宮本茂も奇跡っていうよね…

 

https://twitter.com/ima_1966/status/1651789850578948096?s=46&t=lhGqM4O3hH93yBQgwP6zoA

https://twitter.com/sora_sakurai/status/1652599437892673536?s=46&t=lhGqM4O3hH93yBQgwP6zoA

任天堂の今村さん(スターフォックス作った人)や桜井政博さん(スマブラ作った人)などゲーム関係者のみんな絶賛してるから相当しっかりした脚本なんですよね

 

キャラクターもしっかりしていて非常に良かった。

おしゃべりゲス野郎キノピオ、マリオと同じように異世界に迷い込んで成長した脳筋ピーチ、親父に認められたい短気なドンキーコング、教養はあるけど嫉妬に狂うクッパ最高だな!

ゲームのネタだけでなくてイルミネーションの小ネタを挟んでるのもよかった。マリオとピーチが出会って背負い投げ!シュレックの味!マリオ&ルイージVSペットの犬!Illuminationの味!

  • 字幕版と日本版

日本語版は吹き替えの収録や編集にも一緒に立ち会ったくらい、「クリスさんに恥ずかしくない日本語版を作ろう」と決めていました。なので、ここ数年の映画製作の中では、結構ドラマを意識した日々を送ってきました……(笑)。

https://news.denfaminicogamer.jp/interview/230428wより

今回の字幕版と吹替版はだいぶ違う。ざっくり言えば英語の直訳がほとんどない。

予告編で出てきたクッパのスター強奪シーンも字幕版と吹替版で違いがハッキリしてた。一粒で2度おいしい任天堂らしい仕掛けである。

また、こういう映画ってアニメーション込みのエンドロールは大抵アメリカ仕様(キャラクターの声がアメリカ版の人で日本語吹替はエンドロールにまとめて入れられる)のが多いんだけど、吹替版のアニメーションエンドロールも違う。マリオの帽子と一緒に「MAMORU MIYANO」がドーンと出てきた時は感動した。

筆者は字幕版と吹替版の両方見たけど、字幕版と吹替版がここまで別物になるのは新鮮だった。そら吹替版は日本版って言うわって思った。個人的な字幕版のMVPはジャックブラックのクッパ、吹替版のMVPは宮野真守のマリオ

  • 細かいところ

・幕間のCMのD社さん「実写化リトルマーメイド!ディズニープラスでピーターパン!ピクサーとのコラボでマイエレメント!秋にはホーンテッド・マンション実写化!冬には100周年記念映画やるよ!ちゃんとポリコレに配慮してるよ!見てね!」
N社「おもしろそうどすなぁ?(マリオシリーズをやってニコニコしている老若男女のシーンをまとめたCMを流す)」

https://m.youtube.com/watch?v=5uHNQxVamoM


ワシ「N社さん?D社さんをCMでオーバーキルするのやめていただけますか?」
・N社の映画前のアニメーション面白いね
・マリオが20代で勤めていた会社から独立!で頭を痛める人は多いと聞く。
・マリオとルイージの兄弟の絆にフォーカスしてるの映画ならではだと思う
・サラッとドンキーコングアーケードゲームをやってるおじさん(CV.チャールズ・マーティン)をお出しするな!
・初めてのお仕事!工事中の場所を2Dマリオっぽく駆け抜けるの最高だな?マリオオデッセイの偉大さを感じるぜ…
・ヤラレチャッタ!
・NYの地下にお馴染みの緑の土管でニンマリできる
・ワープ土管の中身が妙に複雑なの間違いなくショートカット土管を意識しているな?こいつらわかってやってますよ!
・土管ワープで迷いまくるの、マリオやった人ほどニンマリできるね!
・猫マリオもお出しされてビックリした。タヌキマリオだけかと思った。
・ピアノで熱唱するクッパ、ノリノリで歌うジャック・ブラックが容易に想像できてダメ
・からのお馴染みのあの曲をカメックとセッションしていて笑う
・親父に認められたいで共通してるマリオとドンキーコングをあまりしんみりさせすぎないようにしたのはよかった。
キノピオに魔法光線を浴びせて苦しめる!スターウォーズの味!
・フローズンフラワーピーチ姫で正々堂々とD社さんに喧嘩をふっかけるのはまずいですよ!
・マグナムキラー核弾頭説
・ピアノをまた弾くなクッパ
・サプライズヨッシーやめろ
・N社の映画好きスタッフ、相当な本数の映画を見てると思う

 

  • さいごに

これで92分は信じられない。体感180分くらいあった。
岩田聡さんも出てるよ!探してみてね!

最後にマリオシアターのマリオとルイージを添えて終わりにします。

https://twitter.com/mariomoviejp/status/1651406902671310854?s=46&t=lhGqM4O3hH93yBQgwP6zoA

これってさ、ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー3の後にやるんだよね。まさかね!クリス・プラットさんが来日するなんてね!ないよね!