はじめに
今年のアカデミー賞10部門11ノミネートとアカデミー賞大本命と謳われる今作。正直、昨年度のアレを見て筆者は「自分たちの正義感で受賞を決めてるんだろ?どーせアベンジャーズにアジア系を足しただけだろふざけんな」とハチャメチャに斜に構えて見ていたのである。
ところが、
ところがである。
今年1番頭のネジがイカれた映画をお出しされたのです。ホンマこれはどうかしてると思いました。でも見終わった後はハチャメチャに拍手喝采してんの。おかしい。でもハチャメチャに面白い!
ということでこの映画の感想をネタバレ込み込みで書く!
世界一無茶苦茶な第三の目
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ハリウッドが本気出してハジケリストを描いた結果がこれだよ!
この映画、マルチバース作品でもある。マルチバースのルールを整理するとこんな感じ。
①マルチバースはその人の別にあったかもしれない可能性のこと。
②互いの宇宙には干渉することはできない
③ただし、ある特定の奇妙な行動を取るとバースジャンプと呼ばれる行動ができる。それによって他の宇宙の能力を使えるようになる
④バースジャンプのしすぎはメンタルに悪影響を及ぼす
「バースジャンプをマスターして色んなマルチバースに行き来できる悪の人間がいて全宇宙を滅ぼそうとしているからそいつを倒してや!それができるのこのバースのエブリン(主人公)だけなんや!」というのがざっくりとしたこの話のあらすじ。こう見ると「なんだ普通の映画じゃん。別の映画見よ」ってなる。
だが、この映画の戦闘シーン、「バースジャンプするためには奇妙なことをやる!」というルールがある。そのためスキル(カンフーなどの戦闘スキルや料理人のスキルなど)を得るためにみーーーーんな頭が狂ったような行動を強要される。その結果、ハリウッド大作とは思えないハジケリストも真っ青なとんでもない絵面が30秒に一回発生するのである!
そしてあろうことかツッコミもせずに物事が進んでしまい、大半に色んなツッコミが出てきてしまうのだ!以下に例をいくつか。
①あるシーンにて。
ウェイモンド「カンフーのスキルを得るためには監察官に愛の告白ををするんだ!」
ワシの中の男性ブランコ浦井「そうなん?」
②あるシーンにて
エブリン「ア・イ・シ・テ・ル」
ワシの中の霜降り明星粗品「ドリカム!」
③あるシーンにて
ウェイモンド「ケツの穴にトロフィーを入れる気だ!」
ワシの中のビュティ「もっとマシな方法なかったの!」
これでもまだ序の口というのが恐ろしいところ。ビュティさんも過労死するツッコミどころ満載の映像で映画館が笑いに包まれてしまうところもしばしばありました
個人的には岩になったエブリンとジョイは笑った
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人間賛歌
単純なおバカバトルを通じて世界を救う話と並行して進められるのがエブリン一家の絆を取り戻していく過程。この家族は機能不全家族であり、何もかも完璧にこなさないといけない!というエブリンの完璧主義的なところに疲弊している。
そんなエブリンがあのトンチキカンフーバトルに巻き込まれる中で段々と変化していく過程が見どころでもある。
また今作のもう1人の主人公でもあるジョイ。
親の過剰な修行で覚醒して闇堕ちというどっかのスターウォーズで見たような設定だけども何かしらの達観みたいなものも感じられる。その結果、「どんな可能性も終わりがある!だから全部をさっさと終わらせてやる!」という思想になる。このジョイを救うためにエブリンは奮闘するわけなんだが、色んな苦しみにも向き合わないといけないと教えていくのだ。その過程があのハジケリストカンフーバトルというのが脳みそが狂う原因なんだけどさ…
「結局のところ、人生は色んな苦しみに向き合っていくしかないんよね」悟りすぎてしまう若い人に向けたブラピ含めた制作陣のメッセージなんだと思います。
こうした人間賛歌と親と子の向き合い方があるからこそ見終わった後に爽やかな気持ちになる。そんな映画でした。
あれ?これってドンブラザーズでは…
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最後に