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はじめに
瀕死だったゴジラシリーズをガチガチの官僚会議ムービーに仕上げて興行収入80億を叩き出し、ゴジラシリーズを復活させた「シン・ゴジラ」
このように庵野秀明さんが実写映画としてシンを冠する作品を作ってきた。その大トリを飾るのが「シン仮面ライダー」である。
ということで邦画超大作とされる「シン・仮面ライダー」なんだけども…
まぁ!アクが強すぎる!
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いいところ
「ヒーローとして引き継がれたものは何か?」というテーマは根底に流れていて、そこをすごく意識した作りをしていた。今もなお日曜の朝に作品が公開されていて、その今までに引き継がれたヒーローの魂とは何か?という部分が大きな軸としてあるのはすごくわかった。最後に一文字隼人に引き継がれた結果としてあのみんなが知る緑色のマスクになるの、ちゃんと継承されていくものの象徴としてすごくよかった。その意味ではちゃんと生誕70周年記念作品としてしっかりしていたと思う。
今作の本郷猛が昭和から平成ライダー1期(ディケイドまで)の象徴とするなら一文字隼人は平成ライダー2期から令和ライダーまでの象徴になっているのは平成ライダーファンとして感慨深いものがありました。実際、パンフの中にも主演の池松壮亮さんがクウガをやったオダギリジョーさんに相談したと思われる話があったし。
主役の池松壮亮さんの力量に多くを委ねすぎているけど、本郷猛=藤岡弘、のイメージとうまく棲み分けはできてるかなと。柄本佑さんの軽い一文字隼人もよかった。ダブルライダー誕生からラストまで突っ走る流れ、仮面ライダービルド(オーズでも可)じゃん!ってなるので平成ライダーだけ履修した人も満足して帰れます。
構造的にはシン・ウルトラマンのように仮面ライダーのエピソードを並べて繋ぎに本郷猛とルリ子のシーンを入れるという感じなんだが、「ショッカーを倒す!」という目的がはっきりしている分、シン・ウルトラマンよりかわかりやすいとは思う。
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アカンところ
やっぱり「面白いかどうかは仮面ライダーの知識に比例する」点であろうか。最後の最後に政府の男の名が立花で情報機関の男が瀧とかおやっさんネタを知らんとわからんのよ!
あと、一文字隼人登場からのライダーバトルからの本郷猛左足負傷、ルリ子の死も藤岡弘、のバイク事故を知らんとわからんのよ!
こうした小ネタを履修して当然だよね?とするからあかんのよ!庵野秀明!
楽しそうなライダーヲタクに挟まれた一般人の池松壮亮さんに同情を禁じ得ない…
また、肝となる戦闘シーンがいいところと悪いところがハッキリしちゃってるのもマイナスかと。冒頭のバトルシークエンスはすごくよかったのだが、仮面ライダー1号VS2号の空中戦闘とか終盤の仮面ライダー1号2号VSクローンライターはなんかもっとやりようがあったでしょ!ってなった。
あとはショッカーの目的がどう見ても人類補完計画ですありがとうございました
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細かいところ
・クモオーグのダムを見たワシ「ニチアサで見た!」
・浜辺美波さん「ところがギッチョン!」ワシ「滑ってるよ!(頭を抱えながら)」
・ノリノリで大袈裟に大暴れするサソリオーグ長澤まさみ!そういうとこやぞ!庵野秀明!
・日本で長澤まさみをこういう雑な役回りで使える監督が庵野秀明になるよって5年前の自分に言ったら異常者扱いされると思う…
・ハチオーグ周りのシーンは概ねよかった。西野七瀬さんいい役割でしたね…
・池松壮亮、柄本佑、森山未來がミニシアター向け作品でなく大衆向け邦画で並ぶと違和感を感じる…
・スタッフロール見た時にonちゃん安田顕と仲村トオルはマジでわからんかった。
・公開してから情報をお出しするのは明らかに戦略ミスだと思うよ…マジで東映の広報担当は庵野に菓子折りを持っていけ
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最後に
これを仮面ライダー70周年記念作品として見るか邦画のビッグタイトルとして見るかでだいぶ評判は変わってくるのは興味深いところ。やっぱりこの手の作品は祭り感も含めて楽しむところはあるので早めに劇場で見た方が面白いと思います
まぁ変な方に振り切れた作品としてアカデミー賞を無双したエブエブの例もあるし売れて欲しいなぁ…
https://twitter.com/suzuki_fuku_te/status/1634878227436171265?s=46&t=lhGqM4O3hH93yBQgwP6zoA
この鈴木福さんの感想、実に正しいんですよね…