「PERFECT DAYS」感想 滅菌された綺麗で気品のある世界

品がいい映画

  • はじめに

https://www3.nhk.or.jp/news/html/20230528/amp/k10014080641000.html

役所広司がカンヌの主演男優賞を受賞したことで注目をされたヴィム・ヴェンダース監督の最新作。

トイレ清掃員として働き、最低限度の生活を営む男の話。

  • 美しく満ち足りた世界

トイレ清掃員として働き、夕方には帰る。銭湯に行き一杯飲んで本を読んで寝る。ヨーロッパのシンプルライフを彷彿とさせる生き方をする。この満ち足りた世界は美しい。全編を通して流れてる凛とした空気感がすごくよかった。

役所広司の演技が素晴らしいのは言うまでもないが、その周囲に集まる人の演技もよかった。個人的には平山(役所広司)の姪っ子家出の場面はすごく好き。物理的に満たされたように見える若者の渇きなどが透けて見えてきたような気がした。

  • 滅菌された世界

ただ、この映画はリアルなものではない。あくまでも物語の中の世界なんだなとも思う。我々はこの満ち足りた世界における雑菌みたいな存在でもあるのだ。この映画はこうした雑菌、すなわち我々が生活している世界そのものが削ぎ落とされたものでもある。そう思う。

  • 細かいところ

役所広司演じる平山トイレ掃除の所作が綺麗。

柄本時生のダメな若者感がすごくいい。そんな奴にも優しさがあるのがわかる場面もいい。

・マルバツゲームで文通は笑う

・突拍子なく出てきた石川さゆりで草

三浦友和役所広司の影ふみ!

・日本の公衆トイレすげーって思ったけど、実は官民連携企画のトイレやでーってネタバラシされてズッコケました。

  • さいごに

とにかく気品溢れる素晴らしい作品だった。それ以上でもそれ以下でもない。

役所広司さんカンヌ映画祭主演男優賞受賞おめでとうございます。