「ゴジラ-1.0」感想 渾身のVFX

いつ何かのタイミングでゴジラ映画の依頼はくるとは思ってましたが、まさか『シン・ゴジラ』の次にくるとは。『シン・ゴジラ』は大好きなんです。でもよく出来過ぎているので、今回の劇中に「誰かが貧乏くじ引かなきゃいけねぇんだよ」というセリフがありますけど、ややそういう気持ちがある一方で、『シン・ゴジラ』のようなものを観ると、自分もゴジラ映画を作ってみたいという気持ちが高まってくる。その勢いに乗って、監督をやろうと決めました。

(ゴジラ-1.0パンフレット 山崎貴インタビューより引用)

  • はじめに

ゴジラ70周年記念作品であり、久々の大作になるゴジラ-1.0。

発表された当初は大ヒットをした「シン・ゴジラ」の後であるとかユアストーリー山崎貴監督を起用するなど荒れに荒れたが、予告編などを見て段々とそういう批判の声が減ってきた印象である。

果たして公開された作品はどうなるのかと思いつつ映画館へ向かった。

 

  • 圧巻のVFXパワー

この映像を見てギャレス・エドワーズさんが1億ドルかけたの?って思うのも納得だよ(実際の予算から目を逸らす)

とにかく映像表現は圧倒的だった。ハリウッド版以上の映像を全編通して残していた。ゴジラVS新生丸・高雄や銀座で大立ち回りするゴジラ、海神作戦、飛行機から見える風景など技術屋山崎貴の意地が随所に見え隠れしていた。なんなら予算規模が100倍近いと思われるマーベルズ予告編より迫力があったよ。(むしろマーベルしっかりしろって言いたくなるよ)

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特にゴジラの熱戦放射発射シーンはもう凄かった。背鰭の動き、放射線の発光、発射される熱戦の迫力。過去No. 1と言っても過言ではないと思う。

また、海のシーンのCGやVFXは気合いが入っていた。「過去の作品の蓄積を生かした」とパンフで山崎貴監督が語っていた通りすごい映像になってました。

この圧巻のVFXパワーが今作の見どころ。

  • 「生きて抗え」にこだわった人間ドラマのベタベタ感

最初の引用したインタビューのように人間ドラマで対抗すると「シン・ゴジラ」と被り、上手くいかないってわかっていたから敢えて人間ドラマはベタベタになっている。

ゴジラにまつわるポリティカル・アクションには『シン・ゴジラ』があるので、同じことをやってもしょうがない。

・自分の土俵に連れてこないと、この映画には勝ち目がないと思ってたので、かなり得意ジャンルを取り込みました。

(ゴジラ-1.0パンフレット 山崎貴インタビューより引用)

このことは山崎貴監督が何度もインタビューで言っている。だから敢えてベタベタな人間ドラマになっていたのが印象的だった。国が頼れないから民間で!→犠牲者ゼロで行こうな!という論理は筋が通っているし、それを実現したのが無謀な若い力というのも時代背景に合っていてよかった。

そのベタベタな人間ドラマを成立させたのが神木隆之介

自分の弱さで軍を壊滅させた上に生き残り、成り行きで今まで過ごしてきた女性が自分を守って犠牲になる。その結果としてゴジラへ復讐を誓う。この役回りを圧巻の絶叫力で成立させていた。ここに神木隆之介さんを曇らせていくという強い意志を感じるのは気のせいだと思いたい。

ストーリーの根っこにちゃんと生きるっていうのが通っているのはよかった。けど確実に死んだやろっていう浜辺美波さんをああいう形で生存させたのはねぇ…次回作がどうなるかにかかってる

東宝さん頼みますよ!

 

  • 細かいところ

・いきなりゴジラに食い殺される日本軍で笑った
・神木君をぶん殴るやさぐれ技術屋の青木崇高さんから出る実家のような安心感
PTSDの演技がうますぎる神木隆之介大先生
神木隆之介さんと浜辺美波さんの出会い方が君の名はを隠しきれてない
・隣人のいやーなオバハンからツンデレおばさんになる安藤サクラさんの実家のような安心感
・らんまんのような日常パートとゴジラさん大暴れの地獄パートの落差がすごい。
・新生丸の面々、王道のコンビ感出まくっていて大好き
・高雄がゴジラにあれやこれやされる薄い本冬コミに出そう
・咄嗟に神木隆之介さんを守って吹っ飛ばされる浜辺美波さんの既視感
・神木君を近くで見て支える役回りに吉岡秀隆さんを配してるのポイントが高すぎる。この2人似たようなキャリアだもんね…
神木隆之介さんが我々の思っていたような成長曲線を描いていてよかったです。

 

  • さいごに

ハリウッドの予算力でないと実現できないと思われてた王道のゴジラを実現できた白組に脱帽です。次回作のハードルが上がった印象もあるけど頑張ってね!

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